小型スピーカーの名機の音質比較
音質比較のオーディオシステムは次の通りです。
【1】アンプ:TA2020(ZERO TA2020 及び SA-36A)
【2】PC:デジタルオーディオボード ONKYO SE-90PCI
【3】CDプレーヤー:KENWOOD DPF-7002(電解コンデンサ及びショットキバリアダイオード交換済み)
【4】イコライザー:ONKYO EQ-211M
YAMAHA NS-10Mのみイコライザーで周波数特性を調整しますが、他のスピーカーではイコライザーは使いませんでした。(ONKYO EQ-211M はYahooオークションで2,000円ぐらいで手に入るかも知れません。)
64Hz | 160Hz | 400Hz | 1KHz | 1.5KHz | 2.5KHz | 3KHz | 6.3KHz | 16KHz | |
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NS-10Mの 周波数特性 |
83dB | 88dB | 89dB | 92dB | 92dB | 90dB | 91dB | 89dB | 87dB |
イコライザー の設定 |
+6dB | +2dB | ±0dB | -2dB | -2dB | ±0dB | +2dB | ||
調整後の値 (合計) |
89dB | 90dB | 89dB | 90dB | 90dB | 88dB | 90dB | 89dB | 89dB |
比較ジャンル | YAMAHA NS-10M |
DENON SC-E535 |
Victor SX-F3 |
ONKYO D-202AX |
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ボーカル | イコライザーで調整後ですが、声がきわめてナチュラルです。 | すこし声が引っ込む感じになりますが、全体の雰囲気はよいです。 | 声が張り出すというより、あたたかく響きます。 | 声が張り出して元気になります。 |
交響曲 | 低域が薄くなりますが、引き締まった演奏が楽しめます。 | 厚みと広がりのある交響曲が聴けます。 | 中域が響く交響曲になります。 | 中域が張り出した感じになります。 |
ピアノ曲 | ナチュラルな演奏が楽しめます。 | とてもソフトなピアノ演奏が楽しめます。 | ピアノの音が響いて聞こえます。 | やはり元気な演奏になりますね。 |
バイオリン曲 | ナチュラルな演奏が楽しめます。 | 広がりのあるバイオリン演奏が楽しめます。 | バイオリンの音が響いて聞こえます。 | やはり元気な演奏になりますね。 |
ジャズ | 少し固めですが、ナチュラルな演奏が楽しめます。 | 低音がずしんとくるジャズが楽しめます。 | 温かなジャズが楽しめると思います。 | やはり元気な明るいジャズになりますね。 |
映画音楽 | 少し固めですが、ナチュラルな演奏が楽しめます。 | 広がりのある豊かな音楽が楽しめます。 | 温かな明るい音楽が楽しめると思います。 | やはり元気な明るい音楽になりますね。 |
スピーカーの周波数特性
周波数特性を測定するプログラムや機材は下記の通りです。
【1】スペクトラムアナライザー:WaveSpectra
【2】音源:デンオン・オーディオ・チェックCD〈スペシャル・リファレンス・エディション〉 の周波数スイープとホワイトノイズ
【3】サウンドカード:ONKYO WAVIO PCIデジタルオーディオボード SE-150PCI(9,8000円)。SE-90PCIを先に購入してあるのですが、Line-InのあるSE-150PCIをYahooオークションで6,000円で落札しました。
【4】マイクアンプ:audio-technica マイクロフォンアンプ AT-MA2(20Hz〜20,000Hz(−3dB)) (4,654 円)。SE-150PCIにマイク入力があるのですが、AT-MA2を使ってみたくなりました。
【5】マイク:エレクトレットコンデンサーマイクロホン(ECM)WM-61A (20-16,000Hz)。一つ100円なのですが、フラットな特性ですね。
【無音時の周波数特性(録音レベル適当)】
【ホワイトノイズによる周波数特性】
【周波数スイープによる周波数特性】
【マイク未接続時の周波数特性】
【マイク入力に直接CDプレーヤーの出力を接続】
【マイク接続時の周波数特性】
↓50Hz(電源周波数)あたりのノイズが大きく、80Hzからなんとか信頼できそうですね。中高域は問題なさそうです。(念のため、マイクアンプの電源は9Vの電池を用いてみました。)
【ホワイトノイズによる周波数特性】
↓イコライザーをOFF。低域(80Hz)で落ち込みますが、それ以外は確かにフラットですね。世界一のモニタースピーカの理由がここにあると思います。
↓イコライザーをON(このページの最初の表を参照)。低域の厚みが増し、また、聴き疲れしなくなります。
↓低域から高域まで伸びて、確かにクラシックに向いていることが分かります。300〜500Hz(人の声)あたりが引っ込みますが、1KHzでは少し張り出してきます。
↓中域の響きのある音色は200〜2KHzにある山のためでしょうか。低域もまあまあですね。
↓元気の秘密は2Hzの山にありそうですね。
【周波数スイープによる周波数特性】
↓イコライザーをOFF。
↓イコライザーをON(このページの最初の表を参照)。
↓DENON USC-F07(インピーダンスは6オーム)。
↓KENWOOD S-01S(能率はかなり低く88dBぐらい。インピーダンスは8オーム)。(マイクはフルレンジから10cmぐらいに近づけました。)
↓DENON USC-A300(能率は89dB。インピーダンスは4オーム)。(マイクはフルレンジから10cmぐらいに近づけました。)
周波数特性の数学的な意味について考えておきましょう。周波数特性の根拠になっているのは次の2つの重要な性質です。
【1】周期関数は正弦波を加算した形で表される。
【2】線形システムでは正弦波を入力すると、その出力も同じ周波数の正弦波になる。(線形システムとは、簡単に言えば、「重ね合せの原理」が成立するシステムのこと。)
この性質から、線形システムの特性は正弦波に対する振幅と位相の特性によって完全に決定されます。さらに、位相の変位が一定(線形位相)であると仮定するなら、システムは正弦波に対する振幅の特性、すなわち、周波数特性により完全に決定されることになります。 という訳で、線形という仮定の元に周波数特性はシステムで重要な意味を持つことになります。
そして、この仮定は決してばかげた仮定ではありません。普通、私たちは線形性(比例といってもいい)を前提に物事を考えているものなのですから。第一、アンプが線形でないとしたらどうでしょうか。入力を2倍、3倍にしたとき、出力も2倍、3倍とならないなら、また、位相が周波数によりめちゃくちゃになってしまうなら、一体いいアンプといえるでしょうか。やはり、いいアンプには線形性を期待するのはきわめて自然なことですね。同じく、オーディオシステムに線形性を期待するのは自然なことといえます。そうはいうものの、オーディオルームも人間の耳も線形ではないでしょう。であれば、少なくともCDプレーヤーからスピーカー出力の50cmのところまでは線形であって欲しいと思います。そして、周波数特性について考える時には近似的に線形システムと考えているということを思い出したいと思います。